Google「AI Overviews」、英語版Wikipediaへの参照を年間12億回減らしたとの推計。ワシントン大学が分析
原題: What Wikipedia Reveals About AI Overviews And Web Traffic
背景
GoogleのAI OverviewsがWebサイトへのトラフィックにどの程度影響しているかは、Google自身がデータを開示しないこともあり長らく推測の域を出なかった。ワシントン大学の研究者らは、2024年の米国内デフォルト化前後の英語版Wikipediaのクリックストリームデータを、AI Overviewsが同時期にデフォルト表示されなかったドイツ語版・フランス語版と比較する形で分析し、ワーキングペーパーとして公開した。
結論
- AI Overviewsの米国内デフォルト表示化により、英語版Wikipediaへの検索経由の月間参照数はドイツ語版比で約5.45%、フランス語版比で約4.82%減少したと推計
- 年間では約12億回、月間では約1億27万回の参照減少に相当するとの試算
- 広告収益に換算した場合の仮想的な損失額は、年間1,082万ドルから3,708万ドルの範囲と推計
- 分析対象期間は2023年12月から2024年12月のWikimediaクリックストリームデータ
- Wikipedia全体のページビューは2025年10月時点で前年同月比8%減少。ボットトラフィックがページビューの約35%、帯域の約65%を占める
- この論文はまだ査読を経ておらず、Googleは同指標がAI Overviews単独の影響を切り分けられるものではないと反論している
メッセージ
情報源として最も引用されやすいはずのWikipediaでさえ、AI Overviewsによる参照減少から逃れられていないという事実は、コンテンツの質や権威性だけではクリックを保証できない時代に入ったことを示す。EC事業者にとっても、AIが「答えの中で完結させてしまう」情報と、実際にサイトへ来てもらう必要がある情報を見極め、後者(価格・在庫・購入手続きなど)をAIの回答内で終わらせない設計にしておくことが、トラフィック維持の鍵になる。